• 新城 安太

【日本初】弁護士によるCBD法規制の解説


CBDアドベントカレンダー(https://calendar.cbdbu.jp/advent/2021)の有識者枠ということで、私の弁護士という立場からCBDに関する法的規制について、書かせていただきます。

お声がけいただいたCBD部のロジャーさんに感謝申し上げます。



1. CBDとは


「CBDってなんですか?」

CBD事業者さんやCBD製品を愛用している人は、よく聞かれることだと思います。私も、よく「インスタグラムやTwitterに書いているCBDってなに?D2Cみたいなやつ?」と友人に聞かれたりします。

CBDとは、カンナビジオール(Cannabidiol) を指しています。カンナビジオールとは、大麻由来の活性化合物で、人間の恒常性維持に作用するとされているものです(アイリーン・コニェツニーほか「CBDのすべて-健康とウェルビーングのための医療大麻ガイド」(晶文社2019年12月20日)参照)。


大麻で有害と言われている物質は、THC(テトラヒドロカンナビオール)であるというのが、大麻取締法が制定された後の研究でわかってきました。


このTHCが、いわゆる幻覚作用がある有害な物質と言われています(なお、最近の研究ではTHCが例えばアルコールと比べると、必ずしも有害とはいえないことや、様々な医薬品的な効果もあることがわかってきているようです)。


CBDは、THCとは異なり、幻覚作用がないので、有害ではないと考えられているようです(厚生労働省第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 事務局説明「CBDについては、幻覚作用を持たず、THCの有害作用に対する拮抗作用や抗てんかん作用を有するとの報告があって、アメリカでは、抗てんかん薬として承認されるなど、一部医薬品利用されているものも存在しているということです。」)

CBDを含有した商品は、コーヒー、オイル、チョコなどの食品や、バーム、リップクリームなどの化粧品2021年4月17日現在、グミ、オイルなどもあり、様々な方法で楽しめるようになっています。

最近だと、女性誌やユーチューブチャンネルにも取り上げられているようです

ちなみに、私は、

「CBDっていうのは、大麻由来の物質で、恒常性維持機能を補助してくれるものだよ。大麻由来だけど、大麻で害があると言われているTHCとは別物だから、合法だし、医薬品としての効果も期待されているものだよ。」

と答えるようにしています。

2. CBDを取り巻く法規制


⑴ 大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法


CBDを取り巻く法規制について、CBD商品を販売する際の広告規制やその他事業者さんに対する規制を挙げたらキリがないので、本記事では、大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法(以下「麻向法」といいます)に触れようと思います。


これらは、CBD自体に対する法規制と整理することができます。

CBDは大麻由来の化学化合物なので、①大麻草からCBDを抽出する方法と、②化学合成することで作成することができます。


大麻取締法は、CBDが①大麻草から抽出された場合に適用が問題となります。

麻向法は、CBDが②化学合成された際に適用が問題となります。



⑵ 大麻取締法上の「大麻」とは

大麻取締法で規制される「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいいます。ただし、大麻草の成熟した茎及びその茎から作られる繊維等の製品(樹脂を除く。)と、大麻草の種子及びその製品は規制対象から除かれます。

文字だけだと分かりづらいのですが、以下の写真のとおりです。

大麻草という植物の部位によって、規制されるか否かが異なるため、「部位規制」と呼ばれています。

(出典:厚生労働省第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 資料 CBD(カンナビジオール)を含有する製品について About Cannabidiol(CBD))

⑶ 法的に問題ないCBD製品とアウトなCBD製品~厚労省の見解を参考に~


大麻草から抽出する場合


大麻取締法上の「大麻」には、大麻草の成熟した茎及びその茎から作られる繊維等の製品(樹脂を除く。)と、大麻草の種子及びその製品は当たりません。


そのため、CBDを大麻草から抽出する場合、「成熟した茎及び種子」から抽出したものであれば、「大麻」には該当しません。


他方で、「成熟した茎及び種子」以外、例えば、花穂や葉、枝や根、成熟していない茎からCBDを抽出した場合は、該当します。


したがって、大麻草の「成熟した茎及び種子」から抽出したCBD製品は法的に問題ないといえます。



化学合成する場合


また、CBDは規制物質ではありませんので、麻向法が直接適用されません。しかし、CBD製品に麻向法の規制物質であるTHC(厳密にはTHCの異性体7種)が入っていた場合には、麻向法違反となります。


したがって、CBDを化学合成して製造したCBD製品は、THC(厳密にはTHCの異性体7種)が入っているか否かで法的に問題ないかどうかが決まります。



ヘンプは大丈夫?


大麻草と一口に言っても、様々な種類があります。例えば、「ヘンプ」と呼ばれるTHCの含有量が低い大麻草があります。


事業者さんをみてみると、「全ての大麻草が違法なのではなく、THCを含んでいなければいい。ヘンプというのは、THCをほとんど含んでいないからこれから抽出したCBDなら合法です。」といった趣旨の発言をされている方もいらっしゃいます。


しかし、これは誤りです。


上記のとおり、大麻取締法は、大麻草の「部位規制」をしているため、ヘンプであったとしても、それが大麻草であるならば、その花穂などからCBDを抽出したものを売ることは違法となります(平野龍一ほか「註解特別刑法5 医事・薬事編『大麻取締法』(青林書院1992年6月)14頁)。


この点について、示した福岡高等裁判所の判断もあります。


福岡高裁平成5年8月23日判例タイムズ854号289頁

<事案の概要>

大麻を所持していたことを理由に起訴されたXさんが、大麻取締法で禁止されている大麻草は、「カンナビス・サティバ・エル」のみであるところ、私が所持したのは「カンナビス・インディカ・ラム」であって、「カンナビス・サティバ・エル」ではない。したがって、無罪であると主張しました。


<福岡高等裁判所の判断>

「大麻取締法の立法の経緯、趣旨、目的等によれば同法1条にいう『大麻草(カンナビス・サティバ・エル)』とは、所論が主張する「カンナビス・インディカ・ラム」をも含む「カンナビス属」に属する植物全てを含む趣旨であると解される」

(特別刑法判例研究会「大麻取締法1条にいう「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)」の意義と罪刑法定主義 福岡地裁平成5年8月2日」判例タイムズ901号20頁1996年5月1日 参照。)


以上の判断を前提とすれば、ヘンプがカンナビス属に属する植物である限りは、大麻取締法上の「大麻」に該当することになるため、ヘンプから抽出したCBD製品を販売することは違法となります。

3. おわりに


おそらくこの記事がCBDを取り巻く法規制について弁護士が解説した日本初の記事だったのではないかと思っています。(違っていたらすみません。)


内容自体に真新しさがあったかは疑問ですが、弁護士という法律の専門家がCBDの合法性について発信することで、


「CBDって聞くけど、あれって大麻なんでしょ?捕まらないか心配。。」

「CBDに興味はあるんだけど、本当に大丈夫なんだろうか。販売している人は売るために色々言うだろうから信用できない・・。」


などと思っている方の法的不信感を拭い去り、ひいては、CBD市場の形成に役立ちたいと思っています。


今後も、ブログを通して、大麻取締法規制の今後の展望や広告規制、大麻について示した最高裁判所の判断の紹介などを通して、現在のCBDを取り巻く法的情報を発信していきます。

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最近だと、薬機法違反で大阪府警が神奈川県在住のアフィリエイター男性を逮捕したニュースや4月1日からの総額表示義務のリマインドなどです。


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今後は、ロジャーさんと協力して、CBD事業者さん向けのラフなセミナー(勉強会)を開催していく予定です。ぜひ、そちらにもご参加ください。

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・ CBD製品のマーケティングのための広告規制の解説

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